「皆さんが楽しんでできるように工夫したいなと思っています。」そう言って笑顔を見せるのは柴野さん。
地域を盛り上げる活動に楽しみながら参加してきた柴野さんの根底にある想いを伺った。
―現在はどのような活動をされているのですか?
「活動的なことは特段してないですよ」と話しながらも、今まで地域でしてきたことを写真とともに伝えてくださった。日立製作所への就職を機に茨城に移り住んだ柴野さん。仕事として機会作りをする傍らに趣味としてもものづくりをしてきた。
「ものつくって遊ぶのが好きなんですよ」と白黒テレビを組み上げた話や自家製の発電機を作った話などを聞かせてもらった。
そうして長年培ってきたものづくりの経験を、現在はひたちなか市津田にある介護老人福祉施設 北勝園の営むカフェの看板づくり、畑の整備などに活かしている。
北勝園には「ヒロさんの畑」と呼ばれる畑があり、地域のボランティアの方々で運営をしている。
そのボランティアとして参加したのをきっかけに看板づくりや畑の通路の整備を始めたのだとか。
「頼まれたら嫌とは言えないですよ」「皆さんが楽しんできるように工夫したいなと思っています」
ヒロさんの畑 中央の通路を柴野さんが整備している
柴野さんが立てた看板
―楽し気にものづくりをしているのだと見受けられたのですが、一番のものづくりの良さは?
「やはり完成した時の自信は代え難いですね。」褒めてもらえることが自信につながってものづくりを続けているとのこと。将棋や他の物事は長時間続かないがものづくりは投げ出すことなくやっている。
「みんなが喜んでくれるって言うのがやる気になっているんです。」
柴野さんは地域で行われるオレンジカフェにも参加している。
(※オレンジカフェとは、認知症当事者やそのご家族、地域住民、福祉職員など誰もが参加でき、認知症への知識や理解を深め交流を図る場です。)
オレンジカフェでの催しでも見ている人を楽しませることを考えて、自作したマネキンとの「二人踊り」の芸を披露し、それがとても人気だという。
―こういうアイデアはどこからくるものなのですか?
「戦後の村芝居というのがあったんです。その芝居や踊りの雰囲気を覚えていたのできっとそこから来たんだろうなあ。」人を楽しませたいと思う気持ちもそこからだったと話す。「戦後なにもないところを盛り上げようと頑張っている姿を見ていたので。」その姿が自然に身について人のためにと動き続ける柴野さんに繋がっているのだと印象に残っています。
ヒロさんの畑の活動が社会福祉法人NHK厚生文化事業団による
第5回「認知症とともに生きるまち大賞」を受賞しました。
ききて:藤川尚/写真:細川夏津稀