七字さん、高比良さん、桐原さん、小林さん(東茨城郡城里町)
3月16日、小林さん家にて味噌炊きが開催された。
このイベントは、有機農業を趣味として楽しむため有志で結成された有機農業サークル「いやしの里」によって毎年開催されている。
この日は13名が参加し、味噌づくりを行なった。
朝8時から薪を焚べて、火を起こすところから味噌づくりは始まる。水に浸された大豆がすでに美味しそうだ。
麹と塩をよく混ぜ合わせる。
釜で大豆を煮ていく。
指で軽く押して、潰れるくらいが頃合いだそうだ。
この大豆の煮汁も旨みが出て、とても美味しい。
大豆が煮えるのを待つ間、この活動についてお話を伺った。
有機農業サークル「いやしの里」は、2001年に七字(しちじ)さんが立ち上げた。七字さんはある研修会で有機農業をされている方と出会い、農薬を使わずに環境への負荷を抑えた農法を知る。振舞われた黒米を食べ、自分もやってみたいと思ったそうだ。農業をできる場所を探していると、友人から小林さんを紹介された。以来、小林さんのご自宅や畑を活用しながら、約23年活動を続けている。
活動は大きくなり、多い時は会員が120名ほどいた時期もあった。NHKの健康を題材とした番組に取材されたこともあった。小林さんのご自宅にはその時の写真が大事に飾ってある。
いやしの里の活動は年に6回程度開催されている。これまでに開催したイベントは、餅つき、味噌炊き、お花見、蕎麦打ちなど様々だ。作った作物も、稲(古代米)、じゃがいも、里芋、さつまいもなど多岐にわたる。収穫の際には地域の子どもたちも参加し、大変喜ばれるという。
炊き上がった大豆を杵と臼で細かくすり潰していく。
これがなかなかコツがいる。私は力が入りすぎてしまい、すぐに息切れしてしまったが、七字さんは、軽い力でギュッギュッと綺麗に大豆を潰していく。
大豆に麹を合わせてよくかき混ぜる。
この麹が味噌の発酵と熟成に欠かせない。
大豆の煮汁も加え、ちょうどいい硬さに整えていく。
今日は米麹だが、麦味噌を作るときは麦麹を使うそうだ。
味噌玉を樽に打ち付け詰めいていく。
空気が入ると腐敗の原因になるため、空気が入らないよう打ち付けて詰めるそうだ。
綺麗にならし、表面に塩を振る。
こうして味噌に蓋をする。
いやしの里のメンバー 高比良さんに、美味しい味噌作りには何が大切か質問してみた。
「味噌蔵で熟成させることじゃないかしら、温度が保たれる環境かな」と一言。
味噌を発酵させるには温度が大切らしい。
昨年仕込んだ味噌を試食させてもらった。
コクと旨みのある美味しい味噌だ。
味噌炊きは、10キロの大豆を2時間半かけて煮ていく。全部で20キロの大豆を煮て仕込んだ。1日がかりの重労働だ。来年は機械でやろう!なんて冗談もあったが、七字さんはこのイベントと文化を継承していきたいと話した。
定年後の楽しみとして友人と立ち上げたサークルのため、若手の会員が少ない。地域に根付くこの文化の魅力が、若い世代にも広がり、長くつながって欲しいと思う。
ききて:細川夏津稀/写真:小林信彦