ちいきの学校

2021.4.11

第4回しろうと先生 佐藤朱実さんインタビュー「ここに来る人の暮らしの一部になりたい」

ここに来る人の暮らしの一部になりたい

佐藤朱実さん(水戸市双葉台)

 

小屋を建ててお菓子屋さんを

「きっかけは、前のオーブンが壊れて、新しいオーブンを買ったことかもしれないです」 そう語る佐藤さんは、自宅の庭にお菓子屋さんを開いたきっかけをそう語ってにっこり笑った。子どもさんたちが独立して、ご主人との2人暮らしになり、ひとりの時間が増えた。加えて人と接する機会が減り、寂しさと漠然とした不安に駆られ、「これで人生終わりたくない」と思った矢先のオーブン購入だったという。

新しいオーブンが来ると、お菓子づくりにハマった。このお菓子を近所の人や友人に食べて欲しいと思った時、「小屋を建てて小さなお店をつくろう」というアイデアに結びついた。目的は地域とつながること。お店を開くことで、いろいろな人と接する機会を持ちたい、そしてお菓子を通して、人とコミュニケーションできないか?と考えた。

本当はもっとあばらやにする予定だったという茶色の小屋。友人2人と10日かけて完成させた。

 

思いついたら即実行

佐藤さんのすごいところは、思いついたらすぐに行動を起こすところである。計画を立て、友人を巻き込みながら、自分も手を動かしてアイデアを形にしてしまう。その空間には佐藤さんが気に入って持っていたものや、友人からの贈り物などが飾られている。

最初の頃は、お菓子をパッケージするのに手間暇をかけていたが、「瓶に入れて量り売りにしたら?」というアドバイスをもらい、これもすぐに実行。ゴミが減って気分が良いだけでなく、測る時にお客さんと会話する時間も増えた。

量り売りのお菓子たち

 

つくるのはクラシックなお菓子

ニューヨークチーズケーキが並ぶ厨房は、最近、仲間と建てたばかりの水色の小屋。簡素なつくりながら、庭が見渡せて居心地が良い。佐藤さんは、ここで作業しながら一日の大半を過ごしてしまうという。 つくるお菓子はクラシックなもの。みんなが一度は食べたことのある、懐かしいお菓子がメインである。

Cabaneの水色の小屋

水色の小屋を建てた 友人たちと

 

心の寄り道できる場所に

「ケーキ3つ頂戴」とお隣さんが垣根越しにお皿を渡してこられたといった微笑ましいエピソードや、「これ食べると元気が出る」と言って同じお菓子を買い求めに来るお客さんもいる。さらに、中学生が「試験終わったー」と言ってお小遣いを持って来てくれたりするから最高だ。

ここが心の寄り道できる場所、暮らしの一部になれればいいなと佐藤さんは目を細める。

今後はお菓子教室や料理教室も開催していく予定。

取材はスープを煮ながらキッチンで

 

ききて:小堀幸子/撮影:細川夏津稀ほか

 

以下、ショップカードより

閑静な住宅街にひっそりと佇む小さな小さなお菓子屋です。

食べた瞬間、思わず笑顔になるような

美味しくてほっこりするお菓子を心を込めて手作りしています。

佐藤朱実さん  Au Bon Viveur la Cabane オー・ボン・ヴィヴェール・ラ・キャバンヌ(水戸市双葉台) 営業時間:午後1時ー6時(月・火休)

Instagram:ruffymint お菓子の写真や小屋を作るプロセスが見られます

 

「しろうと先生」とは